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エメラルドの鎮魂歌
第4章 美しき森の虜囚
…軽井沢の夜の帳は深く濃い藍色に閉ざされている。
瑞葉の寝室には、先ほどから甘く濃い愛の吐息が溢れ返っていた。
「…ああ…八雲…い…や…。さっきから…いじわる…」
天蓋からの紗が掛かった寝台の上では、白い夜着を乱された瑞葉が、涙声で八雲に抗議する。

執事の制服の上着を脱いだだけの姿の八雲は、瑞葉を口づけ責めにしながら、覆い被さってゆく。
白い胸に浮かぶ紅い突起を執拗に弄り、上気した耳朶に噛み付く。
「…今宵は随分、楽しそうにしておられましたね…」
「…んんっ…!」
身を攀じる瑞葉の顎をやや強く捉える。
「青山様ととても楽しげにお話しされていましたね」
深い瑠璃色の瞳を眇めるようにして見つめると、瑞葉は怯えたように長い睫毛を震わせ、広い寝台を後退った。
その白い手を掴み、寝台に深く沈める。

…青山は晩餐中、瑞葉に対して陽気に…しかし怖気付かせないように優しく答えやすいような質問を適宜重ねた。
社交界の話題はせず、瑞葉の好きなクラシック音楽や画家の話…その他愛のない小咄を挟んだりして瑞葉を楽しませた。
大変な人見知りの瑞葉だが徐々に青山に打ち解け、最後の方は、小さく笑い声すら立てた。

八雲は驚き、思わず瑞葉を見つめてしまったほどだ。

青山は八雲より少し年上の…四十半ばの男だが、大変に若々しくいかにも人たらしな大らかな自信に満ち溢れた魅力的な紳士だ。
外国生活が長く、自分のセクシャリティに関しても少しも臆せずに公表している自由で伸びやかなところに、瑞葉は心を許す気になったのかもしれない。

瑞葉の交友関係はとても狭い。
軽井沢に移り住んでからは、唯一仲が良かった弟の和葉とも頻繁には会えず、八雲と通いの使用人数人だけに囲まれた世界だ。

青山は、そんな瑞葉にとって新鮮な風を感じさせるような存在だったのだろう。

「…あんなに嬉しそうにお笑いになって…貴方は、青山様のような頼れるハンサムな紳士がお好きなのではありませんか?」
底意地悪く、その美しいエメラルドの瞳を覗き込む。
「…え…?」
何を言っているのか訳が分からず、美しい眉を寄せる瑞葉に、八雲は残りの夜着をするりと脱がす。
瑞葉は思わず、身を縮める。
「…貴方は、青山様に抱かれたいと思われたのではないですか?」
「…そんな…!そんなこと、ある訳ない…!」
有らぬ疑いをかけられ、瑞葉は必死で首を振る。
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