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第8章 歩

 ベッドから降りて、素っ裸のまんま窓辺に映るスカイツリーの夜景を見る和香奈。

 「歩、超綺麗だよ。見て見て」

 無邪気だな。尻をこっちに向けて夜景を見る女、初めてだよ。

 「夜景ごと和香奈を抱いてやろうか?」

 「えっ?」

 そっと窓辺に立つ和香奈を後ろから抱きしめた。

 「私は歩パパに負けないくらいロマンチックだから、今日の事忘れないと思う。
今のキザな歩を時々思い出してニンマリするんだぁ〜」

 「エッチいっぱいして、アソコが乾く暇ないくらい濡れたのも?」

 「ムード壊すな!アホ」

 「エッチな女、好きだよ」

 「もうー!!歩はデリカシーないな。でも大好き!」

 和香奈のストレートに気持ちをぶつけてくるとこ、時々怖くなる。
こんな俺を好きだと言ってくれる和香奈を間違いなく好きなはずなのに、はぐらかしてしまう。

 和香奈をこうしてムードに酔わせて抱きながらも、窓辺に映る俺の顔はどこか歪んで見えた。

 その顔をずっと見ていられずに目をそらす。

 「ねえキスして……」

 このムードに自分も酔ってしまえといいのだと、ズルイ悪魔にそそのかされ、疚しさが飛び出さぬように和香奈の唇で塞いだ。

  
 
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