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永遠の愛を奪って
第8章 知らない方が幸せなこと
歩き始めた青木くんを呼ぶと足を止めて振り向いてくれた。
土嶋さんのことが気になっていても彼女である私の声に耳を傾けてくれる姿に甘えていいのか葛藤が起こる。
「いっ……」
「ん……?どうした、小春?」
「……いってらっしゃい」
「ああ。また明日な」
バイバイと手を小さく横に振った青木くんは私に背を向けていつもとは違う方へ歩いて行った。
その後ろ姿が見えなくなっても、これでよかったのかな……っと自問自答するばかり。
本当は「行かないで」っと言いたかった。
周りのことを考えずに自分の素直な気持ちを伝えるとするのなら間違いなくこっちだ。
でも青木くんを信じて、重たくない彼女を演じることにした。
明日も仕事だし、買った物を置きに行くくらいですぐに帰ってくると思う。
きっとそうだ。
何もない。何かあるはずがない。
青木くんは私の彼氏なんだから……――――