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ベストパートナー
第1章 アキ
 3


 俺とアキは改めて挨拶を交わし、ホテルの部屋に到着した。
 ホテルとは言え、このホテルは密会用ホテル……つまりは、あのホテルだ。
 それを俺は密会用ホテルと呼ぶ。
 このホテルは外の景色は遮断され、部屋の独特な世界が俺達を妖しく歓迎してくれる。


 ここの密会用のホテルは駐車場に自動車(クルマ)を停めたらその上が部屋のタイプのホテルではなく、駐車場と部屋が別々になっているタイプだ。


 ホテルで待ち合わせ、会う、カウンターに行く、部屋を選ぶ。


 このタイプの利点はホテルに入るまで一人であり、もしホテルに行く途中に知人に会ったとしても、「会った」で済む。さらに自動車(クルマ)を別々に停められ、用事が済めばすぐに別れられること。つまり送り迎えをしなくていい。
 

「ありがとうございます。煙草の吸える部屋にして頂き」

 
 アキが煙草臭い息を吐きながら、一礼をした。かなりのヘビースモーカーだと俺は思う。さっき、そんなには吸わないと言っていたけど、なんだか嘘っぽい。とは言え、やはり気にはしないでおく。
 

 俺が懐から封筒を出した。
 そこにはアキの体を堪能するための、ペーパーが数枚入っている。スマホ同士でペーパーを使わない方法もあるが、見えるのがいいらしい。


「確かめますね……ありがとう」


 アキが手にしていたバックに、封筒を入れた。
 俺はそのやり取りを見ている。


「始まるんですね」


 俺はコクンと頷いた。
 アキに近づき唇を合わせる。するとニコチン臭い味がして、顔を顰めて離した。


「アハハ、慌てたバツですね。お風呂を入れて来ます。ゆっくりしましょう……少し緊張してます。優しくお願いします」


 そう言葉を残し、アキが風呂に行く。
 俺は呆然と見送った。アキはひょっとしたらかなり遊んでいる? そんな雰囲気を醸し出していたからだ。
 まさか……いや、どうでもいさ。
 女の体を堪能出来るなら。


 少し部屋を見渡す。
 どこにもある密会用ホテルで、大きなソファーとダブルベッド、テレビに冷蔵庫……。
 俺はソファーに座り、一息吐いた。
 スラックスの股座は、見事なテントを張っている。準備万端をアピールしていた。
 俺はそんなテントを宥めながら、出逢い系のそれを開き改めてアキのプロフィールを見た。
 
 
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