この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
約束 ~禁断の恋人~
第8章  未来


 今海といられるのは、Dr.小早川の計らいでもある。
「桐島、今晩食事に行かないか?」
 Dr.小早川の明るい声に、僕も笑顔で答える。
「すみません。恋人の手料理を、マンションで食べる約束なんです」
 周りの人に冷やかされたが、それも心地好いと思えた。
「そうか。今日から復帰したんだよな」
 Dr.小早川だけにはメールをしておいたから、全てを知っている。
「はい。少しずつですが……」
 僕がチームのみんなに、海との関係をカミングアウトする日も近いかもしれない。今までも隠していたわけじゃなく、言うきっかけがなかっただけ。
「約束は、守られそうだな」
「はい」
 しっかりと答えた。
 海は新しい命に生まれ変わってまで、僕との約束を守ろうとしている。
『幸せにする』と言ったのを、ちゃんと思い出してくれた。
 今はそれだけでいい。
「暫くは邪魔しないけど、そのうち恋人も一緒に食事に行こうな」
「楽しみにしてます」
 Dr.小早川の笑顔と、周りの暖かい冷やかしに見送られながら、僕は恋人の、海のいる調理部へと向かった。



 調理部の四階へ行った途端、冷やかしを受ける。
「海くん、恋人が迎えに来たわよ」
「海っ。再会のキスはぁ?」
 佐倉と美咲が嬉しそうに言う。
「トモ……」
 調理後の片付けと昼食も終えたのか、丸椅子を出してみんなで雑談していたようだ。
 海に復帰して欲しいと願ってはいたが、そんなことまで考えていなかった。
 調理部の仕事は、忙しい時間が限られている。初めて来た時も、こうして雑談していた。
 雑談の時間に、海が何を話すか分からない。
 それも、ここを出る時にキスされた後。
 久し振りだし、質問責めだったかもしれない。
 海が何を話したか不安だ。
「海は、大丈夫でしたか?」
「何も変わりないですよ、以前と。思い出してきたのか、話し方も戻ってきましたよ」
 佐倉がしみじみと言う。
 話し方。
 それは、人間の特徴の一つだろう。
 記憶のある現場に馴染み、少しずつ変わっていくかもしれない。



/103ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ