この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
わがままな氷上の貴公子
第10章  意地


 家へ帰れば、オレはただの16歳の高校生。
 それでいい。
 インターフォンが鳴り、和子さんが出る。
「はい……。悠斗さん、車が来ましたよ」
「ん……」
 荷物を持ち、和子さんに見送られて家を出た。


 ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆


「望月! そこはもっと丁寧に!」
 オリンピックが目の前となると、コーチの鈴鹿もいつも以上に熱が入ってくる。
 あれから組み直したプログラムは、前半にもう一つ4回転を増やしたもの。
 合計で四つの4回転を跳ぶなんて、さすがにきつい。
 本番で回転不足だと分かれば、どこかで4回転を回避することにもなる。
 賭け……。
 オレも鈴鹿も、目指しているのは選考会の先。
 オリンピックでの表彰台だ。
 大きすぎる野望だとは分かっている。それでも、そこを目指したかった。
 チャレンジ出来るのは、今年だけかもしれない。
 四年後のオレは、どうなってるか分からない……。
「悠ちゃんっ!!」
 何とか最後の着地をした時、潤の声。
 鈴鹿に怒られている。
 ここは、関係者以外立ち入り禁止。エレベーターの中にも書いてあるし、オレだって言っておいたのに。
「休憩させてください」
 リンクサイドへ行き、息を整えながら言った。
「そうだな。一時間。その間に、食事もしてこいよ」
「はい」
 すぐに靴へ履き替え、潤と一緒に一階の喫茶店へ行く。
「来るなって言ったろ……」
「だって……」
 お前はコドモかっ!
 元々、鶏頭だしな……。
 オレはピラフ。潤はカレーの大盛りを食べながら話していた。
 この時期は、炭水化物も適度に摂らないと体力が持たない。練習の合間には、チョコレートを摘まむこともある。
 それでも、激しい練習のせいで太ることはなかった。
 和子さんから潤とのことを言われた日、和子さんは部屋に入って全裸の潤を起こしたそうだ。
 ドライヤーを使っても起きないヤツだから、ノックや外からの言葉じゃ起きないだろうな。
「なあ、潤」
「何?」
 オレが残したピラフを食べながら、潤はニコニコしている。
「今、凄く大事な時なんだよ。あんまり会えなくても、ガマンしろよ……」
 小声で言った。
「ん……」


/141ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ