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わがままな氷上の貴公子
第6章  本音



 四人で食事をして以来、潤はまた毎日のようにウチに来ている。
 それは和子さんが言ったせいもあるが、図々しくよく来られるな?
 寮では、おかずが少ないとか言いやがって。
 それは、お前が食べ過ぎるからだろ?
 オレに比べれば兄貴は食べる方だったから、潤がいる方が和子さんも作り甲斐があるんだろう。
 潤が食べている間に広い一階の風呂を使い、部屋へ行く。
 ここのところ、練習は厳しくなっている。それは毎年のことで、大会が近付いていると実感出来た。
 注目されるようになってからは、規模の小さな大会には出ていない。
 最終目標は、オリンピックの表彰台。
 そのためにはまず、グランプリシリーズ。ファイナルへ進まなければ、オリンピックも見えてこない。
「悠ちゃん!」
 ノックと同時にドアが開く。
 確かにノックをしろと言ったが、普通は返事を聞いてから開けるもんだろ?
「和子さん、片付けて帰ったよ。ちゃんと見送ったあ」
「お前も帰れよ」
 言った途端、ベッドに押し倒される。
「馬鹿っ! 何すんだよっ!」
「何って、決まってるじゃん……」
 含みのある言い方をするなっ!
 潤も下で風呂に入ったらしい。シャンプーの香りがした。
 ここはお前の実家か!?
「悠ちゃん……」
 囁くように言うと、触れたキスが深くなっていく。
「んんっ」
 立っているなら蹴飛ばせるが、乗りかかられるともう動けなくなる。
 舌を絡められ、目を瞑った。
 潤と、こんなキスをするのは初めてだ。
「んっ……」
 誘われるように下を絡めると、溜息が漏れる。
 セフレのつもりなら、オレも開き直ればいい。練習の疲れや、コーチに従う欲求不満の解消。
 もうパジャマに着替えていたボタンが、外されていく。
「悠ちゃん……」
 耳元へ移った唇に囁かれ、体の芯が疼いてくる。
「はぁっ……」
 潤とするのは、どれくらい振りだろう。
 首すじを這った舌が胸に辿り着き、少し強く吸われた。
 その場所なら、跡が残っても構わない。服や衣装を着れば見えないし、今はクラブでもシャワーを浴びるのは一人。
「あっ」
 いきなり乳首を吸われ、体が跳ねた。


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