この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
わがままな氷上の貴公子
第7章  不安


 それを言っても、潤はニコニコしながらタクシーに乗り込んできた。
「和子さんが、凄く心配してたんだぞ。塔子から、地元で入院したって連絡があって……」
「一番心配してくれたのは、悠ちゃんでしょ。和子さんから、電話で聞いたよ」
 こいつ……。
「俺がいなくなったら、悠ちゃんが、全然食べなくなっちゃったって」
 ニコニコしやがって……。
 30分ほどして着いたのは、小さなホテルの前。
 川内グランドホテル……。
 名前と実物に差がありすぎる!
 和子さんも、知らなくて予約したんだろう。“グランドホテル”と付けば、それなりの所を想像する。
 遠征先のホテルの、足元にも及ばない。
 フロントで記帳してからエレベーターへ向かうと、まだ潤が付いてくる。
「もう帰れよ」
「だって。俺も記帳してって言われたから」
「何でするんだよっ!」
 潤がキャリーバッグを取ったから、ポーターとして使ってやろう。
 何なら、少し部屋で話してから帰せばいい。
「うわあ。悠ちゃん、ダブル取ってくれたんだあ」
 部屋に入った潤は嬉しそう。
 オレが泊る時は、いつもダブルなんだよっ!
 シングルベッドに慣れていないから、中々眠れない。遠征の時も自費を足し、出来るだけ広いベッドの部屋に換えてもらう。
 それなのに、潤は勘違いしているらしい。
「ご苦労様。帰っていいぞ」
「えー。久し振りなのにー」
 何がだっ!
「シャワー浴びるから、そのうちに帰れよ!」
 キャリーバッグから着替えを出し、バスルームへ行った。
 ダブルの部屋に、男二人で泊ったらおかしいだろ? ツインならまだしも。
 勝手に記帳なんかしやがって。
 ゆっくりシャワーを浴びると、さっぱりした。
 オレは何ために、こんな所まで来たんだ?
 潤が来なくなくなったって、入院したって、放っておけばいいのに。
 毎日ウチに来ること自体が、おかしいんだ。
 それなのに、静かな家を淋しいと感じてしまった。賑やかな潤に、毒されていただけ。
 頭ではそう考えても、心の中の何かが邪魔をする。
 パジャマに着替えて部屋へ戻ると、ベッドに座った潤がニコニコしていた。
「帰れって言ったろ!?」
「ウソつき」
 潤の言葉にドキリとする。


/141ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ