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天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第56章 立冠式


「はあ……」


“アイツからは女の色気も匂いも感じねーしな”




色気も匂いもね‥‥


どーせねっ…


その方が好都合だからいいじゃんべつにっ


‥‥‥‥はぁ…






アルは自室の窓から外を眺めながらルイスの言葉を思い出し、憂鬱になっていた‥




だって、男の子なのに色気あったら変じゃん…っ…



そう思いながらも密かにショックを受けていた―――





あたしもたまには綺麗に着飾って堂々と街を歩きたい‥

いつか、好きな人と二人で出掛けたり‥‥‥




あたしはいつまで男の子の振りをしなきゃいけないんだろ‥‥‥





アルは窓から見える月を眺め、もの思いにふける‥


村に居る時はこんなことで悩むなんて思いもしなかった‥

生きることに必死で人を好きになるとか恋愛なんてとても‥‥‥


生活に余裕のできた証拠かな?
もしかしたら‥

スゴク贅沢な悩みなのかもしれない‥‥




うん―――

そうだよね!

幸せが当たり前になっちゃうと欲張りになっちゃう‥


ほんとは子供達みんなと一緒にいられるだけで最高に幸せなのに、いつの間にか欲が出ちゃった‥

隊長サンだって‥
悪気があってやった訳じゃないし‥


‥//

でも、やっぱり恥ずかしぃ

もぅいいやとりあえず今日はもう寝よッ…



アルは深いため息を吐く──そして窓を締めていた……


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