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逃げた花嫁と王の執着愛~後宮秘帖~
第9章 息子の独白~書店にて~
女将は頷き、また意味深な眼でチェスンを見た。
「お嬢さま、あたしは、お嬢さまのような男の心をひとめで摑んで蕩かすような女ってえのを苦界で見たことがあります。あたしたちの間では、そういう魔性の女を傾城というんです。国を傾けるほどの良い女って意味ですよ。でも、傾城は良い女どころじゃない。その女に男はぞっこん惚れて、惚れ抜いたら骨抜きにされちまって、我を忘れるほど狂うんです。あたししゃ無学ですけど、外国には、そういう女に血迷って国を滅ぼした愚かな王さまがいるっていう話ですよ」
「お嬢さま、あたしは、お嬢さまのような男の心をひとめで摑んで蕩かすような女ってえのを苦界で見たことがあります。あたしたちの間では、そういう魔性の女を傾城というんです。国を傾けるほどの良い女って意味ですよ。でも、傾城は良い女どころじゃない。その女に男はぞっこん惚れて、惚れ抜いたら骨抜きにされちまって、我を忘れるほど狂うんです。あたししゃ無学ですけど、外国には、そういう女に血迷って国を滅ぼした愚かな王さまがいるっていう話ですよ」