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逃げた花嫁と王の執着愛~後宮秘帖~
第3章 紫陽花の夜に
 ソンは座った彼女の前に、解いた風呂敷包みを置いた。中から現れたのは平たい箱に収まった練り菓子と空色の小さな巾着。



 ソンは更に巾着を開き、軽く振った。彼の大きな手のひらに、一本の簪が落ちた。



「―」





 チェスンは何か言いたげに彼を見上げた。
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