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逃げた花嫁と王の執着愛~後宮秘帖~
第3章 紫陽花の夜に
「殿下、私は流行に興味はないので、そのようなことが流行っているのさえ知りませんでした。ですから、簪を受け取れないとお答えしたのは、そんな理由からではありません」




「では、どうしてだ?」






 ソンはくるりと振り向いた。数歩の距離をおいて、二人は見つめ合う。緊張を孕んだ静かな空間で二つの視線が絡み合った。
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