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逃げた花嫁と王の執着愛~後宮秘帖~
第3章 紫陽花の夜に
「十一年前に出逢ったあの日から、私も殿下を忘れられませんでした。近所に年の近い遊び友達もたくさんいたけど、一緒にいて愉しいと心から思えたのは殿下だけだったのです。殿下は逢えなかった年月、私を忘れなかったとおっしゃって下さいましたね。私も殿下の御事を考えない日はなかったのです」
他の人が聞けば、チェスンもソンを愛していて、二人は両想いなのだと思うに違いないだろう。だが、熱烈な心情の吐露にしては、チェスンの表情は哀しみが濃すぎた。
他の人が聞けば、チェスンもソンを愛していて、二人は両想いなのだと思うに違いないだろう。だが、熱烈な心情の吐露にしては、チェスンの表情は哀しみが濃すぎた。