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逃げた花嫁と王の執着愛~後宮秘帖~
第6章 愛は憎しみを越えて
猛毒にもなる恐ろしい薬を迂闊に人の手に触れさせられない。だからこそ、棄てるのではなく、燃やすという処分方法を選んだ。
それに、自らの憎しみを葬り去るならば、やはり人の手を煩わせるのではなく、自らの手でするべきだ。
「紫陽花の色が今朝はひときわ見事ですこと。今年は梅雨がなかなか明けず、この分では秋の実りが案ぜられました。殊に、こちらの殿舎の紫陽花は遅咲きの珍しいものゆえ、例年よりは長く咲いたようでございます」