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遠恋カレンダー
第11章 11月:酉の市
「だから秋田さんにしろって言ってんだよ」
強めに言う青木のその言葉は、私を心配してくれているからだって分かってる。
「あんたは黙ってなさいよ」
青木を制止する葵のその顔は今にも泣きそうで。
あぁ、同期って良いな。と思う。
あの夜。
私は小川くんを追いかけられなかった。
秋田さんに抱きしめられた私が、何を言っても嘘になると思ったから。
でも、そのまま何も考えずに秋田さんの腕の中に居ることもできず
すぐにその腕の中から抜けだした。
私はずるい―――
どっちの胸に飛び込むこともできない癖に
どっちの手を離すこともできない。
小川くんはあれから2週間の予定で日本にいると連絡が入ったけど
詰め込み過ぎの予定は、私と会う時間なんてなく
山梨の研究所と横浜の本社を行ったり来たりで
毎日のメールをするだけでドイツに居る時と変わりない。
ただ・・・
私が夜の時、今の小川くんも「夜」だ。
こんな当たり前のことが嬉しいなんて
普通の恋人は考えない。
でも逆に言うとこんな普通の事すら、私たちには普通じゃない。
強めに言う青木のその言葉は、私を心配してくれているからだって分かってる。
「あんたは黙ってなさいよ」
青木を制止する葵のその顔は今にも泣きそうで。
あぁ、同期って良いな。と思う。
あの夜。
私は小川くんを追いかけられなかった。
秋田さんに抱きしめられた私が、何を言っても嘘になると思ったから。
でも、そのまま何も考えずに秋田さんの腕の中に居ることもできず
すぐにその腕の中から抜けだした。
私はずるい―――
どっちの胸に飛び込むこともできない癖に
どっちの手を離すこともできない。
小川くんはあれから2週間の予定で日本にいると連絡が入ったけど
詰め込み過ぎの予定は、私と会う時間なんてなく
山梨の研究所と横浜の本社を行ったり来たりで
毎日のメールをするだけでドイツに居る時と変わりない。
ただ・・・
私が夜の時、今の小川くんも「夜」だ。
こんな当たり前のことが嬉しいなんて
普通の恋人は考えない。
でも逆に言うとこんな普通の事すら、私たちには普通じゃない。