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不器用な夫
第13章 食事



「そのくらいは出来ますから…。」


笑顔のハコが公平と2人で台所に立つ。

僕だけが1人取り残されたようにリビングのソファーで踞る。

僕の為の昼食作り…。

朝食を食べない僕は昼食だけは欠かせない。


「後は奥方様に任せます。夕方にまた伺います。」


僕の昼食の準備だけを済ませれば公平が我が家から出て行く。

僕はひたすらいじけたままだ。


「要さん…。」


ハコがさっきの笑顔のまま僕の隣りに座る。


「随分と長い買い物だったな。」


嫌味しか出て来ない。


「ごめんなさい、公平さんに要さんの好きなものを聞いてたら、ついつい買いすぎちゃったの。」


ハコが頬を紅潮させる。

そんなに公平との買い物が楽しかったか?

いじけた僕はハコが見れない。

別に好きなだけ買い物をすればいい。

母もだが、ハコには国松家の嫁として使用無制限のクレジットカードが渡されてる。

海外旅行に行こうが何をしようが、そのカードで不自由のない生活を保証する。

国松家の子を成す母体はとにかく大切な存在として至れり尽くせりされて当たり前だ。


「要さん…、お腹は空いた?」


ハコが僕の手を握る。


「今は空いてない。」


そのハコの手を振り払う。


「要さん…?」


ハコが目を見開く。

公平のように器用にハコを楽しませる事すら出来ない夫はハコを不愉快にしか出来ない。


「ねぇ…、要さん…、怒ってるの?」

「別に…。」

「やっぱり怒ってる。」


そう言ってハコが僕の上に跨り僕の顔を覗き込む。

大きな瞳…。

可愛らしい唇…。

僕の妻と呼ぶには勿体ない美少女。


「なんで…、怒るの?ハコが要さんのコーヒーをちゃんと作れなかったから?」


ハコは僕だけの心配をしてくれる。


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