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不器用な夫
第2章 執事
公平は僕の執事というよりも親友に近い存在だ。
だけど僕に対する無礼を許したとしてもハコに対する無礼までもを許すつもりが僕にはない。
「そうさ。だから、それを片付けて朝食を作るのがお前の役目だよ。」
僕は公平にそう嫌味をぶつける。
「御意。」
この返事も公平の嫌味だ。
僕が望む事は完璧にしてやるから、公平に色々と主としてうるさく言う必要はないのだと会話を終了させる為だけの公平の嫌味の台詞。
公平が片付けを始めたから僕はハコを追うようにして寝室へと向かう。
ハコがパンティーとブラジャー姿でセーラー服の上着と格闘する姿が目に入る。
「まだ着替えてなかったのか?」
「えーっと…、なんか自分で着替えするの久しぶりだからブラジャーの着け方を忘れちゃって…。」
「久しぶりって…。」
「いつもブラジャーを着け忘れるから白鳥が慌てて着けてくれるんだけど、国松家ではくれぐれも忘れるなって言われてるから…。」
ハコの言葉に呆れて来る。
「茅野君の場合、うちに白鳥さんを住まわせる必要があるのか?」
ハコにどうしても専属の執事が必要ならば、その可能性を考慮しなければならない。
僕としては執事とはいえ出来るだけ人を我が家に入れたくないのが本音だ。
執事に頼らなければ何も出来ない人間が教師という職で生徒を指導するのはおこがましいと考えた。
その為にわざわざ実家を出てこのマンションを買い一人暮らしを選んだ。
公平は父の命令でその僕に距離を置いてついて来たに過ぎない。
常に公平が傍に居る事は有難いが基本的には自分で出来る事くらい自分でしようと僕は思う。
それをハコにまで押し付けるつもりはないが僕の考え方は理解をして欲しいと望む。