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不器用な夫
第16章 背徳



僕の子を成すまでハコは妻であっても絶対的な妻じゃない。

なのに無情な僕の身体はハコを感じない。

ハコを痛め付ける感覚ははっきりと感じるのに、ハコの中では僕の頭に突き抜ける快感が生まれない。

これ以上はハコに痛い思いをさせられずに動けない僕のペニスがゆっくりと萎えて来る。

全身から吹き出すフェロモンも緩やかなものに変わってゆく。

萎えた僕の性器はズルりとハコから抜け落ちる。


「要さん…、大丈夫だから…。」


気丈なハコが僕にしがみつく。

だけどハコの真っ白な太股に流れる一筋の愛液には血が混じりピンク色に染まってる。


「ごめんね…、痛かったろ?ごめんね…。」


ハコを抱き締めてキスを繰り返し謝る事しかしてやれない。

不器用な夫だから…。


「愛してる…。」


ハコに何度も言い聞かせる。

焦って馬鹿な事をした僕にハコは優しく微笑み僕の頭や顔を撫でる。


「嬉しかった…。要さんが本当にハコを愛してくれてるって感じて嬉しかったの。」


完全に女の顔に変わったハコがとても綺麗に見えた。


「お風呂に入ろう…、今夜の食事は公平に作らせる。ハコはもう何もしなくていいからね。」


ただ過保護になる。

勃起させてハコとの合体は可能でもハコの中でオーガニズムに達するには並大抵の事じゃない。

これ以上の無理をハコに強いるのは嫌だ。


「食事はもう温めるだけだからハコが作るもん…。」


妻の座を揺るぎないものにしたいと願うハコからは愛おしさだけしか感じない。

ハコを抱き上げてお風呂に連れて行く。

僕がハコを洗う。

僕の前に座らせて首筋や肩を柔らかなスポンジで優しく撫でて洗ってやる。


「んふっ…、くすぐったい…。」


ハコが幸せそうな顔をするのが好きだ。


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