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Aさん ~私を淫らにする人~
第14章 石井さんと
次の日の朝もAさんはいつもの場所で本を読んでいた。昨夜の自分のしたことを知っている私は、前を通るときに後ろめたさをヒシヒシ感じた。

そんな私にAさんからいつものように‘おはよう’メールが届き、私も〔おはようございます〕と返す。

それから私は列に並んでいる時も、電車の中でもいつもは来ないその次のメールを待っていた。

昨日の言い訳をしたかったし、Aさんが何処で何をしていたのかも聞きたかった。

けれども、いつものようにそんな続きのメールは来なかった。

そんな、朝に会ってメールを交換して、また夜にもメールを一往復させるだけの単調な生活が淡々と続いた。

週末にはまた家に誘って欲しかったけれどそれもなしで、ただ〔おはよう〕と〔お疲れ様です〕が繰り返されただけだった。
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