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遅すぎる初恋
第20章 報告
「……俺の家族は、両親と歳の離れた姉貴が二人なんだ。7歳と10歳離れてて、ガキの頃はよくおもちゃにされてて、そのせいで女の人が怖くなったっていうトラウマを植え付けられた」
紫音に抱きついたまま、顔を見られないように家族の話をする。
「20代後半なのに結婚しなくてさ、上の姉貴には婚約者がいたけど。俺は大学入って一人暮らし始めて、あまり実家に帰らなかったんだ。大学が冬休みに入った時もバイトばっかしてて、家族で旅行しようって言われたけど、俺は断った。後から知ったのは上の姉貴が結婚前だったらしくて、最後に家族で旅行したかったんだって」
その頃を思い出し、涙が出てくる。
それに気づいた紫音は無言で抱きしめる腕に力を込める。
「バイトが終わって、携帯見たら知らない番号で着信が何件も入ってて、掛け直そうと思ったら、その番号からかかってきて」
手で涙を拭き、顔を上げる。
「両親と姉貴を乗せた高速バスが雪で前が見づらくてカーブを曲がりきれなかったらしくて、そのまま崖に転落。運転手含めた30人の乗客が全員死亡したって言われた」
「じいちゃん、ばあちゃんはもういなくて、葬式の喪主は俺で叔父さん、叔母さんたちに言われるがまま淡々と式をこなした。その時初めて姉貴の婚約者にも会ったよ」
紫音に抱きついたまま、顔を見られないように家族の話をする。
「20代後半なのに結婚しなくてさ、上の姉貴には婚約者がいたけど。俺は大学入って一人暮らし始めて、あまり実家に帰らなかったんだ。大学が冬休みに入った時もバイトばっかしてて、家族で旅行しようって言われたけど、俺は断った。後から知ったのは上の姉貴が結婚前だったらしくて、最後に家族で旅行したかったんだって」
その頃を思い出し、涙が出てくる。
それに気づいた紫音は無言で抱きしめる腕に力を込める。
「バイトが終わって、携帯見たら知らない番号で着信が何件も入ってて、掛け直そうと思ったら、その番号からかかってきて」
手で涙を拭き、顔を上げる。
「両親と姉貴を乗せた高速バスが雪で前が見づらくてカーブを曲がりきれなかったらしくて、そのまま崖に転落。運転手含めた30人の乗客が全員死亡したって言われた」
「じいちゃん、ばあちゃんはもういなくて、葬式の喪主は俺で叔父さん、叔母さんたちに言われるがまま淡々と式をこなした。その時初めて姉貴の婚約者にも会ったよ」