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お良の性春
第2章    春風乱舞 恋のつむじ風
 家に着くと玄関を走り抜け、そのまま自分の座敷に転がり込だのだった。

 母お鶴は、駆け込んできたお良の様子に胸騒ぎを覚えた。

 座敷に飛び込んだお良を追って障子を開ける。お良はタンスを背に放心したように座り込んでいた。
 ゼイゼイとお良の荒い息遣いが母の耳にまで届いた。
 お鶴は踝を返して台所に向かい、湯飲みに白湯をついで引き返すと、お良の前に置く。

 お鶴は、袂からはみ出した娘の腰巻に気づいて仰天した。

 (手篭めにでもあったのか・・・・)

 「さあ、お良、白湯をお飲みなさい。何をそんなにあわてて」

 母は押入れから布団を出してお良を休ませた。
 お良は母に言われるままに白湯を一気に飲み干し、帯を解くと、そのまま布団に入って目をつむる。
 
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