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フリマアプリの恋人
第2章 鈴蘭のささやき
明大前のマンションに帰り着いたのは、夜の七時を回った頃だった。
車のキーをキーケースに仕舞い、由貴子からもらった保冷バックをカウンターキッチンの上に置く。
…飲みに行くのは嘘だ。
あの家に上がらないための…。
姑息かも知れないが家政婦も不在で、しかも夜に由貴子と二人きりで平常心で過ごす自信がなかったのだ。
由貴子の心尽くしの料理を取り出し、ダイニングテーブルに並べる。
…昔は、学校から帰宅してキッチンから良い匂いがするとそれだけで心が弾んだ。
由貴子が一心に料理を作っている美しい横顔を、少し離れたところからそっと覗くのが好きだった。
…あの頃は、ただ由貴子を母として慕わしいだけだった。
…あの頃のままの気持ちでいられたら…どれだけ楽だったか…。
柊司は小さくため息を吐く。
車のキーをキーケースに仕舞い、由貴子からもらった保冷バックをカウンターキッチンの上に置く。
…飲みに行くのは嘘だ。
あの家に上がらないための…。
姑息かも知れないが家政婦も不在で、しかも夜に由貴子と二人きりで平常心で過ごす自信がなかったのだ。
由貴子の心尽くしの料理を取り出し、ダイニングテーブルに並べる。
…昔は、学校から帰宅してキッチンから良い匂いがするとそれだけで心が弾んだ。
由貴子が一心に料理を作っている美しい横顔を、少し離れたところからそっと覗くのが好きだった。
…あの頃は、ただ由貴子を母として慕わしいだけだった。
…あの頃のままの気持ちでいられたら…どれだけ楽だったか…。
柊司は小さくため息を吐く。