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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密
…もう、おしまいだ。
こんな訳の分からない弱音を吐く女に…歩み寄る男なんている筈がない…。


ややあって、ドア越しに柊司の穏やかな声が響いてきた。
「…澄佳…」
…こわごわと貌を上げる。

「…そうだね。
先のことは、わからない。
誰にもわからない。
一年先、二年先…十年先…僕がどんな風になっているか…僕にもわからない」

澄佳はうなだれる。
…そうだ。
それが人間なのだ…。
変わらないひとはいない…。
痛いほどわかっている…。

「…でも、ひとつだけ言えることがある。
僕は一年先、二年先…十年先…二十年先…。
ずっとずっと死ぬまでずっと、君のそばにいたい。
君のそばで生きたい。
君のそばで死にたい。
それだけは変わらない。
変わらないと言える」

凛とした柊司の声が澄佳の鼓膜を震わせた。
…新たな涙が床に溢れ落ち、新しい染みを作る。
「…それを君に信じてもらえるように、君を愛していきたい」

…どうして、そんなにも優しい言葉をかけてくれるのだろうか…。
私はこのひとに相応しい人間ではないのに…。
こんなに優しい言葉を与えられても、まだ柊司を信じられない自分がいる。
このひとに踏み出せない自分がいるのだ…。

澄佳は泣きながら震える白い手を上げて、ドアに触れる。
…このドアの向こう側に…柊司さんがいる…。
誰よりも愛している…あのひとがいる…。

…それなのに…。
私はこのドアを開けることが出来ない。
開ける勇気が持てない。

…ドアに触れた白い手が、弱々しく降ろされる。

澄佳の心の内を読み取ったかのように、柊司が口を開いた。
「…澄佳…。
僕は待つよ。
君が僕を受け入れてくれるようになるまで…何年でも何十年でも待つ。
…澄佳。君を愛している」

…おやすみ、澄佳。
また、逢いに来る…。

優しい声がそっと別れを告げた。

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