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フリマアプリの恋人
第2章 鈴蘭のささやき
柊司は丁寧に包装を解いた。
セピア色の素朴な箱には赤いリボンがかかっていた。
それには、小さな手紙が添えられていた。
「清瀧様
この度は、私のイヤリングをお買い求めいただき、誠にありがとうございました。
妹様に気に入っていただけたら良いのですが…。
…バレッタは実は習作なのです。
まだ未熟な作品ではありますが、もしよろしければお使いください。
それでは、またのご縁がございますように…。 小川澄佳」
眼を見張るほどに美しい文字だった。
箱を手早く開ける。
キャンディボンボンのように薄く透明な鈴蘭のイヤリングと、同じ鈴蘭をあしらった華奢な髪留めが現れた。
そちらはスワロフスキービーズが散りばめられた上に鈴蘭が可憐に揺れているデザインだった。
「…すごく綺麗だな…」
イヤリングとバレッタを手に取り、柊司は呟いた。
柊司はこれまで付き合った恋人にアクセサリーをプレゼントしたことは幾度かあった。
それらはハイブランドのショップで購入したのだが、それらと比べても遜色がないほど、澄佳のアクセサリーはとても美しく造りも丁寧で品質が良く…何よりセンスが良かった。
柊司は封筒の裏書きを見た。
差出人の住所を読む。
…美しい文字で、千葉県の内房の町の名前が記されていた。
確か、菜の花が有名な海の小さな町だ…。
昔、中学の臨海学校で訪れたことがある。
冬でも暖かく、小さな温泉もあり、鮑などが取れ漁業が盛んで、日本で一番早く菜の花が咲く町だ…。
「…ぴったりな町だな…」
…海辺ののどかな小さな町…。
そこに住みハンドメイドを趣味として、静かに慎ましく暮らす女…。
…一人暮らしなのだろうか…。
何歳くらいなのかな…。
…結婚は…しているのだろうか…。
ふと我に帰り、思わず苦笑する。
…何を考えているんだ。僕は…。
ただ、フリマで商品を購入しただけなのに…。
頭を振り、余計な考えを一掃させる。
そして、商品到着の連絡をすべくフリマアプリを開いた。
セピア色の素朴な箱には赤いリボンがかかっていた。
それには、小さな手紙が添えられていた。
「清瀧様
この度は、私のイヤリングをお買い求めいただき、誠にありがとうございました。
妹様に気に入っていただけたら良いのですが…。
…バレッタは実は習作なのです。
まだ未熟な作品ではありますが、もしよろしければお使いください。
それでは、またのご縁がございますように…。 小川澄佳」
眼を見張るほどに美しい文字だった。
箱を手早く開ける。
キャンディボンボンのように薄く透明な鈴蘭のイヤリングと、同じ鈴蘭をあしらった華奢な髪留めが現れた。
そちらはスワロフスキービーズが散りばめられた上に鈴蘭が可憐に揺れているデザインだった。
「…すごく綺麗だな…」
イヤリングとバレッタを手に取り、柊司は呟いた。
柊司はこれまで付き合った恋人にアクセサリーをプレゼントしたことは幾度かあった。
それらはハイブランドのショップで購入したのだが、それらと比べても遜色がないほど、澄佳のアクセサリーはとても美しく造りも丁寧で品質が良く…何よりセンスが良かった。
柊司は封筒の裏書きを見た。
差出人の住所を読む。
…美しい文字で、千葉県の内房の町の名前が記されていた。
確か、菜の花が有名な海の小さな町だ…。
昔、中学の臨海学校で訪れたことがある。
冬でも暖かく、小さな温泉もあり、鮑などが取れ漁業が盛んで、日本で一番早く菜の花が咲く町だ…。
「…ぴったりな町だな…」
…海辺ののどかな小さな町…。
そこに住みハンドメイドを趣味として、静かに慎ましく暮らす女…。
…一人暮らしなのだろうか…。
何歳くらいなのかな…。
…結婚は…しているのだろうか…。
ふと我に帰り、思わず苦笑する。
…何を考えているんだ。僕は…。
ただ、フリマで商品を購入しただけなのに…。
頭を振り、余計な考えを一掃させる。
そして、商品到着の連絡をすべくフリマアプリを開いた。