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フリマアプリの恋人
第2章 鈴蘭のささやき
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「どういたしまして。僕は大したことはしてないよ」
…イヤリングの代金は毎月柊司が瑠璃子に渡しているお小遣いから差し引くことになっている。
月々1万円のお小遣いの中からだから大した額ではないし、昨今の女子中学生の買い物にしてみたら、可愛いものだ。
…そして、うっとりとイヤリングを眺めている瑠璃子にジャケットの胸ポケットからバレッタを取り出して、差し出す。
「…澄佳さんからだ。まだ試作品だけれど、良かったら使って感想を聞かせてほしい…と仰ってたよ」
きょとんとした貌が一斉にほころんだ。
「え〜!いいの⁈きゃ〜!可愛い可愛い!すごく可愛いバレッタ!」
ひとしきり大喜びし、
「ママ、付けて」
と、由貴子に手伝ってもらう。
由貴子は器用に瑠璃子の髪を手櫛で梳き上げ、ハーフアップにした根元にバレッタを付けた。
「…とても綺麗なバレッタね。
スワロフスキーが細かく付いていて…。
端に鈴蘭が可愛らしく揺れて…とても上品で素敵だわ」
由貴子が静かに褒め称えた。
「…これを作った方は…柊司さんのご友人なのかしら…?」
静謐な微笑みを湛えた由貴子の表情からは、感情が読み取れなかった。
「いいえ、お会いしたこともありませんよ」
フリマアプリのことを話してないので、どうしても漠然とした説明になってしまう。
瑠璃子が悪戯っぽい眼で柊司を振り返る。
「会ったらお互い好きになっちゃったりして。
柊ちゃんはイケメンだし頭いいし優しいし…。
…澄佳さんはどんなひとなのかなあ…。美人かなあ…。
美人ぽいよねえ?若いかな?…あ、肝心なこと忘れてた!独身かな?ねえ、柊ちゃんてば!」
由貴子が珍しく黙り込んでしまったので、柊司は素早く話題を打ち切った。
「ほらほら、幾ら何でもはしゃぎすぎだ。
もうすぐ検温の時間だろう?ベッドに戻りなさい。
…僕は健斗と少し話しをしてくるよ。
母様、すぐに戻ります」
由貴子は静かに頷いた。
…その形の良い唇には強張った微笑みがうっすらと浮かび…直ぐに消えようとしていた…。
…イヤリングの代金は毎月柊司が瑠璃子に渡しているお小遣いから差し引くことになっている。
月々1万円のお小遣いの中からだから大した額ではないし、昨今の女子中学生の買い物にしてみたら、可愛いものだ。
…そして、うっとりとイヤリングを眺めている瑠璃子にジャケットの胸ポケットからバレッタを取り出して、差し出す。
「…澄佳さんからだ。まだ試作品だけれど、良かったら使って感想を聞かせてほしい…と仰ってたよ」
きょとんとした貌が一斉にほころんだ。
「え〜!いいの⁈きゃ〜!可愛い可愛い!すごく可愛いバレッタ!」
ひとしきり大喜びし、
「ママ、付けて」
と、由貴子に手伝ってもらう。
由貴子は器用に瑠璃子の髪を手櫛で梳き上げ、ハーフアップにした根元にバレッタを付けた。
「…とても綺麗なバレッタね。
スワロフスキーが細かく付いていて…。
端に鈴蘭が可愛らしく揺れて…とても上品で素敵だわ」
由貴子が静かに褒め称えた。
「…これを作った方は…柊司さんのご友人なのかしら…?」
静謐な微笑みを湛えた由貴子の表情からは、感情が読み取れなかった。
「いいえ、お会いしたこともありませんよ」
フリマアプリのことを話してないので、どうしても漠然とした説明になってしまう。
瑠璃子が悪戯っぽい眼で柊司を振り返る。
「会ったらお互い好きになっちゃったりして。
柊ちゃんはイケメンだし頭いいし優しいし…。
…澄佳さんはどんなひとなのかなあ…。美人かなあ…。
美人ぽいよねえ?若いかな?…あ、肝心なこと忘れてた!独身かな?ねえ、柊ちゃんてば!」
由貴子が珍しく黙り込んでしまったので、柊司は素早く話題を打ち切った。
「ほらほら、幾ら何でもはしゃぎすぎだ。
もうすぐ検温の時間だろう?ベッドに戻りなさい。
…僕は健斗と少し話しをしてくるよ。
母様、すぐに戻ります」
由貴子は静かに頷いた。
…その形の良い唇には強張った微笑みがうっすらと浮かび…直ぐに消えようとしていた…。
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