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砂漠の薔薇
第6章 ロ
「女として魅力ない?」

私の、抱いてオーラをこーちゃんは負担だと言った。
女として魅力がないから恋人に抱いてもらえないのだろうか。

「今、ここでキスしていいのか?」

ほんの少し・・・
上ずった声でさらに私を抱きしめた。

グッと力を入れるその両腕に、守られているような感じがする。

次の瞬間、フワッとしてその力が緩められたのかと思ったら
ほんの少し私を自分の身体から離して
私のあごに手をかけた。

「イヤなら、全力で・・・逃げろ」

ゆっくりとゆっくりと。
私に逃げる時間を最大限に与えるように近づいてくる整った顔は
分からないぐらい、ほんの少しだけ歪んで
彼の心の葛藤をその眉間に表していた。

逃げようと思えば、もちろん彼を突き離してソファーから抜け出る事は可能な抱きしめられ方で
あごにかかっていない方の手は、そっと私の腰に添えられているだけだった。

「タイムオーバー」

じっと見つめ合う視線は絡み合って
阿部さんの発した言葉を境に甘くなった。

まぶたをゆっくりと閉じる。
途端に、柔らかい阿部さんの唇が私の唇にふれた。

何度も何度も、ついばむように私の唇にキスをして
少し出した舌先で私の唇をゆっくり舐めた。

その誘いに乗るように私もほんの少し唇を開く。
その行為に気がついた舌先が、私が拒否できるゆっくりとした動きで私の口内に入ってきた。
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