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砂漠の薔薇
第7章 |
引越しの日はいい天気で。
「サヨナラ」
こーちゃん今までありがとう。
でも、ありがとうなんて言ってあげない。
それが私の最後の強がりで
きっとそんな私を分かってるこーちゃんは、最後に寂しそうに笑った。
お互いにお互いの考えている事が分かる程
私たちは長い時間を恋人として過ごしてきた。
いま、それが終わる―――
「真由花も、元気で」
同級生の私たちはきっと完全に縁が切れる事はなくて
ゼミの同窓会なんかで会うこともあるだろう。
でも次に会う時、私たちはただの同窓生で
帰る家は、別々だ―――
少し後ろで、そんな私たちを見ていた阿部さんは
泣きそうな私が駆け寄るとギュッと抱きしめてくれた。
引越しの荷物は思った以上に多くて
一緒に過ごした4年の生活の蓄積を感じさせた。
阿部さんが手伝ってくれて、割とはかどったけど
それでも夕飯を作るスペースも気力もなくて
「俺んちでデリバリーとろうぜ」
という案に素直に合意する。
歩いて2分の阿部さんの家にサンダルで出かけようとすると
「良いね。サンダルで行かれる距離」
とニヤッと笑った。
何言ってんだか。
いつの間にかつないだ手を、振り払う事もせず
そのまま手をつないで2分の道のりをゆっくり歩く。
「サヨナラ」
こーちゃん今までありがとう。
でも、ありがとうなんて言ってあげない。
それが私の最後の強がりで
きっとそんな私を分かってるこーちゃんは、最後に寂しそうに笑った。
お互いにお互いの考えている事が分かる程
私たちは長い時間を恋人として過ごしてきた。
いま、それが終わる―――
「真由花も、元気で」
同級生の私たちはきっと完全に縁が切れる事はなくて
ゼミの同窓会なんかで会うこともあるだろう。
でも次に会う時、私たちはただの同窓生で
帰る家は、別々だ―――
少し後ろで、そんな私たちを見ていた阿部さんは
泣きそうな私が駆け寄るとギュッと抱きしめてくれた。
引越しの荷物は思った以上に多くて
一緒に過ごした4年の生活の蓄積を感じさせた。
阿部さんが手伝ってくれて、割とはかどったけど
それでも夕飯を作るスペースも気力もなくて
「俺んちでデリバリーとろうぜ」
という案に素直に合意する。
歩いて2分の阿部さんの家にサンダルで出かけようとすると
「良いね。サンダルで行かれる距離」
とニヤッと笑った。
何言ってんだか。
いつの間にかつないだ手を、振り払う事もせず
そのまま手をつないで2分の道のりをゆっくり歩く。