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御主人様のお申し付け通りに
第12章 一緒にすんな
私の視線は、コンビニの自動扉の前で、立ち尽くす永田の姿をすぐさま捕らえた。

永田にバッチリ見られた。

アイツは私を冷めた目で睨み付けていた。

…怒ってる。

…いや、ブッ殺されるかも。

「アハッ★…」

笑いかけてみたんだけど…。

ヒェ~ッ!やっぱり睨まれてる。

「永田ぁ~っ!!」

私はもうヘラヘラしながら駆け寄って、腕にしがみ付いて、ベッタリする。

「ごめんなさい、私が大好きなのは永田なんだって、どうしても直接伝えておきたかったの。だから、今日で本気で元旦那と最後に会ったのぉ~!」

私は仔猫みたいに、永田の腕に頬擦りをして甘えて言う。

心の中じゃ、あまりの恐怖でビクビクもんだよ。

頼むから、許してくれ~って。

「本気で本当なのぉ~!」

と、永田の顔色を何度もチラ見する。

視線が合うと、たぶんその視線で命を失いそうになるから、すぐにそらすけど。

永田は何も言わずに、細い眉を八の字にして、奥歯をガチガチと噛んでるみたいな表情して、歩き始める。

私は、そのまま腕をしっかり両手で握り締めながら、まとわりつくように一緒に歩く。

「永田ぁ、スキスキ♪」

必要以上に好きだと、言葉に出してやる。

見上げると、ヒェーーーッ!

般若の面を付けているように、冷たく怒っている。

ゆ、許して、お願いしますから。

指先を無理矢理絡めて、恋人握りをする。

「永田ぁ」

必要以上に名前を、何度も言ってやる。

笑うしかないやん。

嘘がバレたんだもん。

「ニャハハン★…チュッ…」

手の甲にキスして、許しを請う。

結局、永田は一言も発しなかった。
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