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御主人様のお申し付け通りに
第3章 甘えるな
堂々と何一つ、隠さずにいる永田の背中を見た時に。

ドキッ…ドキッ…ドキッ…とした。

それから、私は恥ずかしい。

甘えたくないのに、甘えて。

自分らしくとカッコつけながらも、その代償にお金にシビアになってて。

別れた旦那とディープキス。

永田の広くて大きな背中に、どうしようもない私の姿が写った。

「…な、永田っ」

思わず、名前を呼んだ。

「あぁっ?なんだ?」

振り返る瞬間に、私は湯船から飛び出して、その背中に抱き付いた。

「ね、永田。今夜一度だけ私を抱いて欲しいの」

「えっ?」

意外に、永田は戸惑った表情をした。

「…はぁ~っ…」

深い溜め息を付いて、仕方ないという感じで返事をされた。

「分かった」

今夜の私はおかしい。

おかしくならなきゃ、元旦那とキスした自分が消えていかないから。

それが、どうしても嫌で。

早く、それを記憶から消し去りたいのだ。
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