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白い指先と甘い吐息
第8章 翳りゆくとき
なつみは貴史が許せなかった。

今までの優しさがすべて嘘のように思えて悔しかった。

と、同時に夢のように楽しかった日々が色あせてゆく虚しさに、胸が潰れそうだった。

貴史の笑顔が、優しいまなざしが、温かいぬくもりが一瞬で手の届かないところへ、消えてしまった。


「愛してるって言ったのに・・・ずっと守るって・・・」


裏切られた憎しみと貴史を求める気持ちが交錯して胸が張り裂けそうだった。

溢れる涙をそのままに、なつみは長い時間ベンチから動けなかった。
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