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歳下の悪魔
第3章  新たな顔


 この後は、どこへ行くのだろうか。
 またどちらかの部屋で、セックス紛いのことをするのかもしれない。
 嫌でも、もう覚悟は出来ている。
 私は、和真に弄ばれるだけの奴隷。彼には、他に彼女がいるのかもしれない。その彼女には嫌われたくなくて、縛ったりせず普通のセックスをする。
 普通のセックス。それは、どんなものを差すのだろう。
 昨夜の麗菜と大地は、普通のセックス。愛撫してから挿入して、お互いが気持ち悦くなる。ただ、人に見られるのが好き。それでも、普通と言えるのだろうか。
 和真は私を縛るだけで、自分は裸にもならない。勃起しているはずなのに、彼は放出しないまま。
 それでも、彼は満足なんだろうか。
 本当に、普通のセックスとはどんなものだろう。
 自分がしてきたことが、普通のセックスとは言い切れない気がしてきた。もしかしたら、正解は無いのだろうか。そんなことを、教えてくれる教科書はない。
「優華? 腹減らない? 一度車を置いて、何か食べに行こうか」
「私、作ろうか? 朝のお礼に」
 自分でも、どうしてそんなことを言ったのか分からなかった。
「優華の手料理、食べたいなあ」
 途中で駐車場のあるスーパーに寄り、食材を買うことにする。
「何が食べたい? あんまり難しいものは、作れないけど……」
 カートを押している、和真に言った。
「豚肉の生姜焼き。それと、味噌汁。野菜が付いてると嬉しいなあ」
「ん。分かった」
 それくらいなら、簡単。
 何種類かの野菜をカートに入れ、精肉売場へ行った。
 普段通りに、パックの豚肉に手を伸ばす。
「あっちで買った方が、美味いよ」
 和真が向かったのは、ショウケースのある肉屋。
 そっちが高級で美味しいのは分かっていても、値段は倍以上する。
「生姜焼き用の豚肉、3人前ください」
 和真が店員に注げた。
「3人?」
 また誰か来るのかと思い、固まってしまう。
「んっ。俺が2人分食べるから」
 その言葉に安心した。22歳と言えば、まだ食べ盛りだろう。
 和真が肉を指差すと、店員が薄切りにしてくれる。
 パックに貼られた値段を見て、驚いてしまった。パックの肉の、倍どころじゃない。3倍以上もするブランド肉。


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