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-その後の世界-
第1章 3年後の世界
ナツネは、半身を失っても死なない特殊な人類──増殖種。
人間が、彼らにこれ以上人間を提供しなくてもいいように創られた……いわば人類の為の生贄。成功したただ一人。
化け物に何度体を引き千切られ、何度食われても、死ねない体。
それをモニターで見ている事しか出来なかった僕。
……助けたい
助けたかった。
命をかけて守ろうとした、ナツネくんの母のように。僕も。
山引の体を借りてクローンを創り出し、クイーンの部屋へと向かうナツネを、何故止められなかったのか………
クイーンのいる扉を閉めるよう、おぐっちゃんに言われて……あんなに躊躇したのに。
『し・め・ろ』
モニターに顔を向けたナツネの口の形。
もしかしたら、『に・げ・ろ』の間違いだったかもしれないのに……
僕は………閉めるボタンを、押してしまった。