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完熟の森
第16章 別れとはじまり
菜箸で秋刀魚をひっくり返した。


またジュウジュウと油が炭に落ちた。


「あのさ、俺…雫に恋していいかな?」


「ふふ…もうとっくにしてるでしょう」


雫は笑ってた。


「えっ?そうだった?」


「千晶が本を借りたのは私に会いたいから。
つまりその時から千晶は私に恋をしていたのよ」


「そうなのか?」


「そうよ」


「雫は?」


「だから克の前で言ったじゃない。私は嘘は言ってないわよ」


雫は僕を見て、優しく微笑んでいた。




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