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完熟の森
第20章 恋人 1
「お兄ちゃん、彼女と別れたでしょ」
「あっああ…」
「私の友達がお兄ちゃん狙ってるよ」
「ふーん」
「会ってみない?」
「無理」
「なんで?彼女いるの?」
彼女…雫は僕の彼女と思っていいんだろうか?
ガールフレンドとはなんか違うな。
雫にとって僕は何だろう?
僕は雫の何を知っているんだろう?
ポストに記した『小嶺(コミネ)』という名字と仕事は『物書き』という事しか僕はまだ知らなかった。
そういえば、年令も家族の事も聞いたことなかった。