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完熟の森
第42章 ハタチの僕
「父さん、昔聞いた駆け落ちした話、あれさ、なんで別れたの?」


「ああ、あれか…あれは、金だよ、金。
金の切れ目が縁の切れ目って言うだろう」


金か…なんかイマイチピンとこない話だった。


「当時、父さん学生だったからバイトしても微々たるもんで、
彼女は町工場の事務員で稼ぎも良いわけじゃなくてな。

父さんより13も離れていた彼女は切り詰めた生活にイライラして段々ギスギスしてきたんだ。

結局父さんが大人になるのを待てず、年相応の男に走って終わりだ」


「俺も見合いするって捨てられた。金は関係ないけど…」



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