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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第10章 危ない口づけ(ファーストキス)
 さて、舞台は都の外れ、色町の遊廓が軒を連ねる一角に見世を構える翠翠楼に戻る。



 その日、セリョンは自室で一人、ぼんやりと物想いに耽っていた。ここのところ、美貌で知られた翠翠楼の看板娘は、いつもこの有り様で、拭き掃除をしては水の入った盥をひっくり返し、料理をしていては砂糖と塩を間違えてしまうといった案配である。
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