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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第13章 秘密の情人
実のところ、美貌と才知を武器に、翠翠楼の女将が娘をとんでもない、やんごとなき方へ嫁がせようとしている、という噂がいつしか囁かれるようになっていた。
とはいえ、どれも事実無根の噂ばかりである。自身の孫息子も実のところ、女将の娘の婿候補に名乗りを上げたクチであるが、当然ながら、丁重に断ってきた。一代で商団を興し財を築き上げ、莫大な財産は息子にすべて譲るつもりだったが、一人息子は若くして亡くなった。