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第17章 苦難の道

「セリョン」



　呼びかけても、セリョンは振り向きもしない。いや、それをいえば身じろぎもせず、ひたすら放心したように虚空を見つめているだけだ。



「セリョン？」




　やや声を高くして呼びかけ、やっと想い人が振り向いた。彼が愛して止まない少女のやつれ様に、ムミョンは息を呑んだ。ろくに睡眠が取れていないのか、大きな黒い瞳の下には隈ができている。