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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第2章 謀~はかりごと~
「いけない、月に見惚れている場合じゃないってば」






 慌てて歩き出し、大通りの角を曲がって人気のない路地裏に入ったそのときだった。今度は路傍に自生している紅椿が眼に飛び込んだ。月は相変わらず顔を出し、妖艶な女を思わせる椿を夜陰にひっそりと浮かび上がらせている。
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