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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第25章 波乱の予感
以来、セリョンは沈みがちになった。セリョンの希望で姫金魚草が宮殿の庭園片隅に植えられたのは流産後まもなくである。失った我が子の代わりとでも思っているのか、セリョンは姫金魚草の花が咲くのを愉しみにしていた。
今は三月の半ば、漸く待ち詫びた開花の季節になり、セリョンは毎日、庭園に花を見にくるのが日課となっている。最近、政務が多忙を極める王は滅多と来ることはないが、今朝は珍しく二人揃っての朝の散歩となった。