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第25章 波乱の予感

　慕華館は使節団がこの国に来た時、滞在する宿舎だ。今回もいつもどおり、使節団が国を出たと知らせが来たときから、担当の官僚を決めて準備は整えさせているはずである。





　スジンは袖から皺だらけの手巾を取り出し、渋紙色の額の汗を拭った。彼の小さな顔に刻まれた皺の数より多い、皺だらけの手巾である。そろそろ七十に手が届くかという彼は、春の浅い日、そこまで暑いはずもないのに、気の毒なほど汗をかいている。