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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第27章 心に走る漣(さざなみ)
 女官長が退室した後、セリョンは刺しかけだった刺繍を取り出した。布を刺繍枠に挟み込んで、色糸を使ってひと針ひと針丹念に刺してゆく作業は根気と集中力が要る。




 刺したままの針を抜いて刺繍枠を手にしたその瞬間、殆ど仕上がった枠の中の蓮池がさざ波立ったように見え、慌てて眼をこすった。
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