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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第38章 火焔と蝶
 と、次の瞬間、彼は我が眼を疑った。丸い月が燃えている。





「―っ」




 息を呑み、眼帯をしていない右側の眼をこすった。少しく後、また空を見上げれば、月は相変わらず禍々しいほど紅く染まっている。まるでその身の内に燃え盛る炎を宿しているかのようだ。美しいといえば美しいのかもしれないが、あまりに不吉な色合いではないか。
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