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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第39章 二人の王者

皇帝は長い息をついた。
「ところが、儂が町中で出逢った娘は、噂とは似ても似つかなかった。道端で行き倒れそうになっている儂を親身になって心配し、介抱した挙げ句、宿まで送り届けてくれた。その後もわざわざ手料理まで持って訪ねてきた。お人好しと言えなくもないが、綺麗な心を持っている。しかも利発で頭の回転も速く、優しい。美しさは並みではないな。儂の後宮にはたくさんの女がいるが、セリョンには敵わないだろう。清らかでありながら、不思議と男を惑わせる色香がある。ああいう女を男を狂わせる魔性というのであろう―、かつて我が国が唐といっていた時代、玄宗皇帝を骨抜きにし、安禄山の乱を招いた楊貴妃もセリョンのような可愛い娘であったのやもしれぬ」
「ところが、儂が町中で出逢った娘は、噂とは似ても似つかなかった。道端で行き倒れそうになっている儂を親身になって心配し、介抱した挙げ句、宿まで送り届けてくれた。その後もわざわざ手料理まで持って訪ねてきた。お人好しと言えなくもないが、綺麗な心を持っている。しかも利発で頭の回転も速く、優しい。美しさは並みではないな。儂の後宮にはたくさんの女がいるが、セリョンには敵わないだろう。清らかでありながら、不思議と男を惑わせる色香がある。ああいう女を男を狂わせる魔性というのであろう―、かつて我が国が唐といっていた時代、玄宗皇帝を骨抜きにし、安禄山の乱を招いた楊貴妃もセリョンのような可愛い娘であったのやもしれぬ」

