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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第2章 謀~はかりごと~
とはいえ、女将としては、意識もない行き倒れをみすみす放り出す真似は人の道にもとるから、できない。ソンは
―ならば、意識を取り戻したら、できるだけ早く追い出すことだ。悪いことは言わん。
と、診察に来る度に女将に囁いている。
「おっかさん、眼が覚めた途端に追い出したりはしないわよね」
セリョンは呟き、もう一度、男の整った顔を見ている中に自分もついうとうとと浅い微睡みに誘(いざな)われていった。