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第52章 愛するということ

　何故、気づかなかったのだろう。



　私は彼を好きで、彼も私を必要としてくれている。たとえこれより先、王位を継ぐべく王子が生まれなくても、我が子でない縁戚の子に継がせても構わないから、自分の傍にいて欲しいと言ってくれる男。




　私には彼しかいないし、彼も恐らく同じなのだ。私たちは二人で一人。
　どちらかが欠けても、きっと生きてはゆけない。