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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第56章 蒼い果実の日々
 とはいえ、両親との外出はともかく、乳母の屋敷を訪ねるのは輿で周囲を厳重に守られての行程であり、一切の寄り道は許されない。




 つまり、輿に閉じ込められたきりの紅順は、時々、輿の両脇についた引き戸を開けて、外の景色をそっと窺うしかないのだ。これでは正直、外出とは名ばかりではないか。紅順はいつも不満だ。
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