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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第7章 漆黒の夜桜
 そういえば、と、今更ながらに、この建物を巡る怪談を思い出してしまった。数代前、この殿舎に起居していた側室が中殿にいびられたのを苦にして、庭の樹で首を吊ったという。嫉妬深い正妻が良人の寵愛を受ける妾をいびる話というのは、何も王室に限らない。当時、王妃は数人立て続けに女児ばかり産み、その側室が第一王子を産み奉った。
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