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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第58章 向日葵の姫君
 紅順は柳尚宮を待たず、先に殿舎に辿り着き、階を駆け上った。両開きの扉を開き、中に飛び込む。




 無人の住居特有のうらぶれた空気がそこここに満ちている。人が暮らしていないとはいえ、毎日、当番の女官が掃除して窓を開けて空気の入れ換えも行っている。なのに、どこか淋しげな雰囲気が漂うのは、そこに住まう主(あるじ)を持たないゆえだろう。
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