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第58章 向日葵の姫君

　労りを込めて言うと、女官は何度も頭を下げた。年の頃は二十歳前後、確かに放蕩者が眼を付けるだけあり、色の透き通るように白い、美しい娘である。




　興真君、侮れない男だ。いや、油断ならぬ相手だという以上に、本能的に受け付けない質(タイプ)の男である。あんな男と結婚するくらいなら、まだ見ず知らずのその辺りを歩いている男の方がよほどマシだと思える。それほどに、生理的嫌悪感を催す相手だった。